VOL.4


近視の手術(角膜屈折矯正手術)

 近視に対する手術の話がテレビや雑誌でもときどき見られるようになりました。また、タクシーや駅の広告などでも近視の手術が宣伝されています。多くのひとは、この近視の手術が最近始まったと思っていますが、実は50年ほど前から、手術手技は、異なるものの、このような手術は、行われていました。
 近代的な近視の手術のパイオニアは、順天堂大学の故佐藤教授で、角膜(黒目)の前面、後面に放射状の切開を加えて、角膜の曲率を減らすことにより近視の矯正が行われました(約50年前の話です)。しかし、後年、その合併症として角膜の透明性が失われる症例が続出したため、この手術は行われなくなりました。1970年代になると、ロシアの故フィヨドロフ教授が、角膜の前面からだけ放射状に角膜を切開する手術法を開発し、ロシア、次いでアメリカにもこの術式は広がりました。しかし、この手術方法も、術後の視力の不安定さや、夜間光源が乱反射して見にくいなどの問題、眼球強度の低下によって、軽い眼球打撲でも眼球破裂をおこすなどの問題が指摘されるようになりました。
 最近、世界中で、よく行われている近視の手術方法にLASIK(レイシック)があります。これは、まず、マイクロケラトームという電動カンナの一種で角膜表面にフラップを作り、次に、角膜実質をエキシマレーザーを使って組織をとばすことにより薄くし、再びフラップでふたをするという方法です。この方法も、従来の手術よりは安定した成績を期待できますが、いくつかの問題点が指摘されています。まず、マイクロケラトームは、目に大きな圧力かけなければ切開を行えません。大体100mmHgの圧が必要といわれています。目の正常な圧は15mmHg程度ですので、短時間とはいえ、このような高い圧力を加えることによる目への影響が懸念されています。また、マイクロケラトームによる切開の際に失敗すると角膜不正乱視をおこすこともあります。また、最近の報告では、術後、ほとんどの症例にドライアイが発生するといわれています。LASIK(レイシック)は、まだ新しい術式なので、長期の経過がどのようになるかまだよくわからない部分もあります。
 この他にも、乱視に対する手術、老眼(眼科的には老視といいます)に対する手術、遠視に対する手術なども試みられています。近視に対してもこのようなLASIKだけでなく、PRKという方法や、角膜に透明のリングを埋め込み、レーザー照射が必要ない術式も開発されています。色々な手術方式があり、各手術に関しても肯定的、否定的と眼科医にとって考え方が異なります。現代は多くの情報があふれていますが、専門知識がない場合には、正しい判断をくだすのが困難なこともあります。近視の手術などに関しては信頼できる眼科医に相談することが必要です。

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